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Channel: スポーツナビ+ タグ:ファンサービス
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サッカーはサポーターだけのものではない

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 村井満チェアマンの発言が批判されている。ナビスコカップ決勝戦の前にハロウィンのコスプレを歓迎する発言が、サッカー好きの人たちの逆鱗に触れたようなのだ。twitter上での批判はものすごいことになっている。「神聖な決勝戦を汚している」と言わんばかりの批判が立ち並び、正直な話でいうと驚きを隠せない。 Jリーグのファンサイトの一つであるJ’s goalを潰したり、今シーズンの人種差別発言を行ったレフェリーへの処分を行わなかったりと、批判が集まっている村井チェアマン。更に2ステージ制の導入も相まって、手腕を疑問視する声も出ている。 さて、先ほどの発言で火に油を注ぐような形となったのは「オレンジ色のチームは勝ち上がっていないが、コスプレでオレンジ色のコスチュームをしてきても構わない」というところ。「オレンジ色のユニフォームのチームに失礼だ」という意見も出ている。 サッカーファンとして言おうとしていることは分かるが、私から言わせれば全くその否定的な意見には同意できない。むしろ、村井チェアマンのアイディアは素晴らしいと思ってしまった。 それには二つの理由がある。 まず、ナビスコカップはそこまで扱いが大きくない大会だということ。特に、ニュースでの扱われ方や雑誌での取り上げられ方は顕著で、一部サッカーライターからU-23のカテゴリーの大会にしたほうが良いという意見すら出ているほど。サッカー雑誌でも採点結果は出ていないし、サッカーを見始めた当初はその扱いの小ささに驚いた。それでも、決勝戦のチケットは買えないほどのドル箱興行なわけだが。 次に、決勝戦の会場はもう国立競技場ではないということ。今まで問題にはなかったが、埼玉スタジアム2○○2は浦和美園駅からも割と歩かなければならない。浦和駅からもバスなどが出ているとは言え、国立競技場と比較しても圧倒的に遠いし使いづらい。何より、対戦カードによっては観客が満員にならないケースもある。それが顕著に出たのはサンフレッチェ広島-ガンバ大阪の昨年の決勝戦だった。スタジアムは例年と比較してもガラガラで、当日券が販売されていたほど。おまけに天候は雨。寒い中、わざわざ埼玉の交通の便が悪いところまで行ってサッカーを見ようとは、思わない。 それを考えると、チェアマンとして意見を出すのは自然なことだろう。なおかつ、31日はハロウィン当日だ。多くの人達にサッカーを見てもらいたいと考えているのであれば、そのような発言をすることは当たり前のことだと思う。意見の提示が早ければ、コスプレ割などの企画もできただろう。軽率な発言だったことは否定しないが。 プロ野球は、むしろそのようなサービスに積極的だ。オリックス・バファローズでは、浴衣デーと称してファンサービスを提供しているし、「カープ女子」で有名な広島東洋カープでは女性をターゲットにした応援ツアーが大好評。新庄剛志は日本ハム時代に試合前のド派手なパフォーマンスで有名になった。プロ野球ではむしろそれが当たり前のようになっているのだ。 また、twitterにはこのような書き込みもあった。真剣勝負がただのイベントに成り下がる、と。私はそれを見た瞬間にこう思った。ありえないと。 カップ戦の決勝だ。盛り上がるに決まっている。選手たちだってタイトルがかかっているんだから、真剣になって当然だ。むしろ、そのような発言は選手や関係者に失礼に当たる。興味半分でもいい。初めて見たサッカーで感動してサポーターになる可能性もある。その可能性すら摘み取ってしまうことは、ファンとしていかがなものだろうか。 ゴール裏にはいい人たちがいることは否定しない。しかし、ゴール裏で声を張り上げているから偉いとか、サッカーを知っている・知らないで軽蔑するサポーターも多くいるのだ。いつからサポーターという存在は敷居が高くなったのだろう。まるで一見さんお断りの店のようではないか。 今でも思い出すのが、母と見に行ったベルマーレ平塚と横浜フリューゲルスの試合。あの試合がサッカーに触れた最初の機会だった。中田英寿がどれだとか、山口素弘が誰だとか全くわからないままだった。 サッカーのことを一生懸命勉強しようと思ったのは周囲にサッカー好きが多かったから。野球も好きでよく見ていたが、気が付くと同じくらいサッカーも好きになっていた。自分もそこから始まった。知らないなら知らないで良い。私は、もっと多くの人にスポーツの面白さを知ってもらいたいのだ。 選手はプレーで魅せる。それはファンへの礼儀だ。クラブや協会は、どうしたらプレーを見てもらえるかを考える。イベントも時間の許す限り行うし、広告を取るために頭だって下げるだろう。そういう苦労があって初めて、プロスポーツは成立するのだ。それが当たり前で普通のこと。繰り返すが、発言は確かに軽率だった。だが、全否定することは裏で頑張る人たちの努力すら侮辱するものだと、私は思う。

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